両親が高齢になってきた方の中には、実家の整理や片付けが気がかりであるものの、中々着手できていない人もいらっしゃるはずです。そのような方に向けて、本稿では実家の片付けの進め方について解説します。
目次
実家の片付けを行うタイミング
両親が健在の内に行う生前整理
両親が健在のうちに生前整理として実家の片付けを行うと、両親の意見も聞きつつ片付けを行えます。そのため、捨てるものと、そうでないものの判別がつきやすくなります。
しかし、一見不要に感じられるものでも、両親にとっては思い出の品であったり、元々は高価な値段で購入したものであったりすると、処分を拒否される可能性もあるでしょう。
生前整理は短期間で進めるものではなく、数ヶ月・数年かけて行うものと認識しておくことが必要です。
両親が他界した後に行う遺品整理
両親が他界した後の遺品整理は、自己判断で不用品を処分していきます。もし相続人が曖昧な高価な遺品などを売却する場合、誰が売却益を受け取るのかで揉める可能性も考えられるでしょう。
そのようなトラブルを避けるためにも、両親が存命のうちに実家にある高価なものについて把握し、必要であれば遺言書に相続人や処分方法について明記して貰っておくのが懸命です。
実家の片付けを行うメリット
家の安全性が上がる
もともと実家が散らかっている場合、片付けを行うことで安全性が向上します。特に、両親が高齢の場合は日常生活で物につまづいたり、高い場所にあるものを取ろうとしたりして怪我を負うリスクを低減できるでしょう。
災害発生時のことも踏まえると、いざという時に移動しやすく、どこに何があるのかわかりやすい状態にしておくのは、生存率を向上させるという観点から非常に重要な取り組みです。
介護がしやすくなる
もし、両親の介護が必要になった場合も、実家の中の片付けを行っておいた方がスムーズに介護の体制を整えられます。高齢者の介護では、電動式ベット・簡易トイレなどの導入や、手押し車を使った移動をすることになる可能性が非常に高いため、実家内のスペースを広く確保しておくことは重要です。
場合によっては、実家の中をバリアフリー仕様にリフォームしなければならなくなります。早い段階から実家の片付けを行っておけば、そういった状況になっても柔軟に対応できるでしょう。
実家の片付けで両親を説得するコツ
生前整理で実家を片付けようと考えた際には、両親の説得が必要になるケースもあります。もし実家が散らかっており、物が散乱している状態であるなら、そのままの状態を放置するリスクを両親に説明するようにしましょう。
前述の通り散らかった状態の実家は安全性が低下し、以下のようなリスクが派生します。
- 火災
- 転倒事故
- カビの発生
- 害虫
それに加え、もし「自分も掃除に参加するのが面倒」と考えているような場合には、清掃業者への依頼も提案してみましょう。外部の専門家に任せられるとなれば、実家の片付けに対する心理的ハードルが下がる可能性があります。
実家の片付けを行う際の留意事項
あくまで両親の家であると念頭に置く
生前整理で実家を片付けるなら、大前提として「あくまでも実家は両親の家である」と認識しておきましょう。
「許可なく両親のものを捨てる」「うっかり大切なものまで捨ててしまう」などの行動を取ってしまえば、家族仲が急激に悪化してしまうかもしれません。
そのため、実家の片付けで捨てるものについては逐一両親に確認を取るか、自分の物が残っている場合はまずはそこから処分するようにしましょう。
小さなスペースから片付ける
実家の片付けは時間のかからない箇所から行っていくことも大切です。初期段階で、広いリビングや物置のようになっている部屋から片付けに着手してしまうと、難航した場合にモチベーションが低下する原因になります。
一方で、台所や洗面所、玄関などの狭いスペースなら、少ない労力で片付けを終えることが可能です。ある程度、物が減ってすっきりとしてきたら、「生活が快適になった」「掃除をしやすくなった」などのメリットを伝えることで、片付けに対するモチベーションもアップするでしょう。
一時保管スペースを作っておく
実家の片付けを行う際には、捨てるものを一時的に保管しておくスペースやケースを用意しておくのも有効です。
所有者である両親にとって、自分のものを捨てること自体がストレスである場合、そのまま処分しても問題ないものを区分けしておき、時間が経ってから捨てるようにすることで、心理的な負担も軽減できます。
場合によっては、両親の存命中に行うのはものの整理のみに留めておくのも選択肢となるでしょう。
実家の片付けの進め方
実家の片付けは小さなスペースは小さな箇所から進めるとスムーズであると前述しましたが、具体的な手順としては以下の順序となります。
①空き箱・袋類などの小物類
何年間も使われずに残っている空き箱や新聞紙、雑誌などは、重要度も低く、捨てる際の労力も少なくて済むためまず最初に着手するとスムーズです。
箱や新聞などの捨て方については、地域ごとで処分方法が決められていますので事前に確認するようにしましょう。
②収納と関係ない大きな家具
普段は使用されていないテーブルや椅子など、特に収納と関係ない家具は処分してしまっても特に問題はないと考えられます。
処分方法については、粗大ゴミとして捨てる以外にも、破損が少ないならリサイクルショップに売却する手もあります。
③衣類や小物の雑貨
収納に利用されている家具を処分する場合、まずは中に収まっている衣類や小物などの雑貨類を捨てる必要があります。
中には重要書類や宝石類など、捨ててはならないものも含まれていると考えられますので、あらかじめ前述した一時保管スペースを用意しておき、そちらに仕分けしていきます。
④収納用の家具
タンスや棚の中に収まっているものを処分できたら、次は収納用の家具を捨てていきます。両親がまだ存命の場合は、今後の生活で明らかに不要と考えられるものだけ処分するようにしましょう。
⑤書類や想い出のある品など
実家の片付けがある程度終わると、最後に捨てるかどうか判断するべきものとして過去の重要書類や写真などの思い出の品が残るでしょう。これらは不要かどうかを判断するのに時間がかかるため、最後にまわします。
可能であれば、両親が存命中に処分方法について確認・相談しておくとスムーズです。
まとめ
実家はあくまで両親のものではありますので、生前に片付けを行う際には逐一捨てるものとそうでないものとを確認する必要があります。「実家のあとは遺品整理のタイミングでいい」と考える場合でも、実家を片付けておけば両親も安全かつ快適に過ごすことが可能です。
重要書類や高価な品の処分方法についても生前から両親と相談し、整理整頓しておけば、遺品整理もスムーズに進むでしょう。