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訳あり物件(瑕疵物件)を売却する方法は?売却時のポイントを解説

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物件の損傷などの物理的な欠陥を抱えていたり、過去に事件・事故などのマイナスイメージを与える出来事があったりした訳あり物件は、通常の不動産に比べて売却も難しいのが現実です。

 

本稿では、さまざまな瑕疵(かし)を抱えた物件の売却相場や、売却を成功させる方法について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

訳あり物件の瑕疵ごとの値段相場

前述のように、訳あり物件は瑕疵を抱えた物件を指します。瑕疵物件は「どのような欠陥を抱えているのか」によって「心理的瑕疵物件」「環境的瑕疵物件」「物理的瑕疵物件」「法的瑕疵物件」に大別され、それぞれ値段の相場感も異なります。

 

 心理的瑕疵物件の値段相場 

心理的瑕疵とは、物件そのものは破損していないものの、過去に事件・事故があったなどの理由で利用者が心理的負担を感じる物件となります。ただし、現在は心理的瑕疵の線引きについては曖昧であり、国土交通省によりガイドラインが検討されています(1)。

 

そのため、心理瑕疵物件の相場は非常に振れ幅が大きいのが実情です。おおよそ市場価格の5〜9割の間で価格が変動しますので、売却価格を決める際には「どのような要因で瑕疵が発生しているのか」との観点から慎重に検討する必要があります。

 

 環境的瑕疵物件の値段相場

「近くにある施設の影響で異臭がする」「高速道路や線路に面しているため騒音が激しい」などのマイナス要素を抱える物件は、環境的瑕疵物件も該当します。環境要因による瑕疵も、心理的瑕疵と同様に捉える側次第の側面があり、瑕疵に該当するかどうかはケースバイケースです。

 

環境的瑕疵物件の売却相場はおおよそ市場価格の7〜8割となるのが一般的となっています。環境的瑕疵は所有者本人はどうしようもないケースがほとんどですが、心理的瑕疵に比べて瑕疵の有無を判断しやすいと言えるでしょう。

 

 物理的瑕疵物件の値段相場

物件にひび割れや雨漏りが発生しているなどの状態は、物理的瑕疵物件に該当します。建物だけでなく、地盤の不安定さや土壌汚染など、土地が抱えるマイナス要素も物理的瑕疵となります。

 

物理的瑕疵のある物件の売却価格は低くなりやすく、市場価格の2〜3割ほどで取引されるケースが多く存在します。修繕などを行えば市場価格に近い価格設定をすることも可能ですが、その際は修繕費用が別途発生しますので、結局手残りの売却益は少なくなりがちです。

 

 

 法的瑕疵物件の値段相場

法的瑕疵とは、建築基準法や消防法などの法律を逸脱して建築された、いわゆる違法物件 です。築年数の浅い物件で法的瑕疵が発生することは非常に稀ですが、もし法的瑕疵物件に該当する不動産を売却する場合は、高く見積もっても市場相場の5割程度が限界とされています。

 

さらに、法的瑕疵物件の売買取引において買主はローンを組むことができず、買い取った後の利活用も難しいため忌避されやすい物件と言えます。

 

 

訳あり物件を売却する際の6つのポイント

 

瑕疵を抱えた訳あり物件をスムーズに売却するためには、以下の方法が有効です。

 

  • 瑕疵部分の修繕を行う
  • 更地にして土地だけ売却する
  • 売却までの期間を開ける
  • 売却前に賃貸物件として利用する
  • 訳あり物件の買取専門業者・サービスを利用する

 

 瑕疵部分の修繕を行う   

物件が抱える瑕疵はそれだけで売却価格が下がる要因になってしまうため、売却前に修繕・リフォームなどを行い瑕疵を解消するのも選択肢のひとつです。

 

特に、室内で人が亡くなった心理的瑕疵物件は特殊清掃が必要になるケースも多く、ネガティブな印象を和らげるために徹底的なクリーニングがリフォームが求められる場合もあります。

 

物理的瑕疵であれば、修繕を行ったあとに専門家にインスペクションを依頼することで、価格設定をより正確に行えます。調査結果を商談時に提示すれば、買主との交渉もスムーズに進むでしょう。

 

ただし、前述のように修繕費用が嵩みすぎると最終的な売却益が少なくなってしまう可能性もあります。

 

 更地にして土地だけ売却する

瑕疵の修繕が難しければ、更地にして土地だけ売却するのも効果的です。構造上の問題であるため、瑕疵の解消には建て直しレベルの改修工事が必要な法的瑕疵物件などのケースでは特に有効でしょう。

 

ただし、心理瑕疵は利用者側のイメージに起因するものですので更地にしたからと言って解消されるとは限りません。後述する瑕疵の告知義務についても消失する訳はない点は把握しておく必要があります。

 

さらに、物件を解体して土地のみの状態にすると固定資産税が最大6倍になってしまう点にも留意が必要です。

 

 売却までの期間を開ける

心理的瑕疵を抱えた物件を売却するには、事故や事件が起きてから期間を開けるのも手段のひとつです。何かしらのマイナスのイメージを与える出来事が起こった直後は、買主探しも難航すると予測されますが、時間が経てばそういった印象も緩和されるでしょう。

 

ただし、売却までの期間は固定資産税・都市計画税などの税金や、物件の維持・管理費などを支払い続けなければなりません。

 

 売却前に賃貸物件として利用する

瑕疵物件の売却までに、賃貸物件として入居者に貸し出しを行えば、ただ売却するよりも高い金額で売却できる可能性があります。投資物件として収益を得ることで、前述の「売却までの期間を開けると支出が増える」との問題点も解決できます。

 

 訳あり物件の買取専門業者・サービスを利用する

瑕疵の解消が難しい場合などは、通常の不動産会社経由で買い手を探すのは難しいのが実情です。そういった場合は、瑕疵を抱えた訳あり物件の買取を専門的に行っている業者に直接の買取依頼を相談しましょう。

 

瑕疵物件の買取に特化した業者であれば商談もスムーズに進む可能性が高く、法的な手続きに関してもサポートが受けられる可能性もあります。

 

 

訳あり物件を売却する際の注意点

訳あり物件を売却する際には、瑕疵の内容に関して「告知義務」があり、物件に対して「契約不適合責任」が発生することを念頭に置いておきましょう。

 

 瑕疵の告知義務について

瑕疵物件の売買取引を行う際には、買い手探しの際の告知文や契約書などで瑕疵の内容について告知をしなければなりません。「告知事項あり」と申し書きをして瑕疵の内容について記載するのが一般的です。

 

ただし、前述のように心理的瑕疵は線引きが曖昧であり、物件の取り壊しを行ったとしても告知義務は残るため、専門家のサポートを受けるのがベターでしょう。

 

物理・法的瑕疵を修繕や改修によって解消する場合、告知義務が発生するのは瑕疵が解消されるまでの間のみです。

 

 契約不適合責任とは

不動産売買では、契約不適合責任によって契約が履行されるまでの間に契約内容に適合しない瑕疵が発覚した場合、売主が責任を取ることが定められています。契約不適合責任は、令和2年の民法改正前までは瑕疵担保責任と呼ばれていて、売主に及ぶ責任の範囲は現在よりも緩いものでした(2)。

 

契約が履行した後に瑕疵が発見されたとしても、買主は瑕疵の発見から一年以内であれば売主に損害賠償請求を行えます。物件を売却する際には、瑕疵の内容について正確に把握しておきましょう。

 

まとめ

訳あり物件の売却では、抱える瑕疵の内容によって売却価格が大幅に変動します。瑕疵のある物件を売却する際には、修繕したり、売却までの期間を開けたりして瑕疵の解消を図るのが一般的です。それが難しい場合には、訳あり物件の買取専門業者に相談しましょう。

 

 

参考:

※1 国土交通省,「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」,https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00015.html,(2022/01/19)

※2 法務省,「売主の瑕疵担保責任に関する見直し①」,https://www.moj.go.jp/content/001255639.pdf,(2022/01/18)

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