遺産相続などで空き家を所有することになったものの、住む予定がなく、活用方法をわからないため売却を考えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。実際に、空き家は放置し続けるとさまざまなリスクが発生してしまいますので、早期に売却した方が賢明です。
今回の記事では、空き家売却の方法に加え、売却に係る税金や費用、控除制度について紹介します。
目次
空き家は放置せず早期売却した方がいい理由
空き家は所有し続けている限り税金の支払いが発生するだけでなく、放置し続けていると周辺地域の治安悪化に繋がったり、放火などの犯罪の対象となる危険性もあります。
空き家を放置し続け、周囲に危険を及ぼすと行政によって判断され「特定空き家」に指定されると、本来空き家に適用されていた固定資産税・都市計画税の優遇措置もなくなります。さらに、特定空き家は行政判断による強制的な取り壊しも可能で、その際の解体費用は所有者負担となる可能性がある点もネックです。
そもそも、建造物は経年によりどんどん価値が減っていきますので、今後空き家を活用する見込みがないなら、早期売却をしましょう。
空き家を売却する際の3つの選択肢
空き家を売却方法についてはいくつか選択肢があり、「そのまま売却する」「土地のみを売却する」「リフォームしてから売却する」などです。
そのまま売却する
空き家を解体せず「中古住宅」「古家付きの土地」として売却する方法となります。空き家が築20年以内でそのまま住めるようなら中古住宅として売却し、そうでない場合は古家付きの土地として買い手を探しましょう。
空き家をそのまま売却するメリットとしては、解体費用がかからず、すぐに買い手探しを始められる点にあります。空き家が特定空き家に指定されていないなら、解体するよりも売却までの間の税金も抑えられます。
一方、空き家が宅地としての利用が難しい状態の場合は、買い手探しが難航する点には留意しましょう。
更地にして土地のみ売却する
「空き家の状態が悪い」「周辺エリアに賃貸需要がない」といった場合は、空き家をそのまま売却するのではなく解体して、更地の状態で売りに出した方が買い手が見つかりやすい可能性があります。
ただし、解体や整地には多額の費用が必要であり、空き家があった状態に比べ固定資産税が6倍・都市計画税が3倍になることも踏まえる必要があります。
リフォームして売却する
空き家をリフォームして物件のとしての価値を高めれば、より高値で売却できる可能性が高まります。最新のトレンドを抑えた魅力的なリフォームを行えば、買い手探しもスムーズに進むでしょう。
ただし、リフォームする場合は解体して売却する時以上の期間が必要なケースが多いのが通例です。
空き家売却の方法
空き家を売却する方法としては「不動産会社への仲介の依頼」「空き家バンクやマッチングサイトの利用」などがあります。
もちろん自分で買主を見つけることも可能であるが、不動産売買は非常に手続きが煩雑で、いちから顧客を見つけるのは負担が大きいのが実情です。
専門業者ならノウハウが豊富なだけでなく、不動産を買いたがっている顧客を抱えている可能性が高くなっています。そのため、手数料などで手残りの金額が少なくなったとしても利用するメリットは大きいと言えるでしょう。
不動産会社に仲介を依頼する
不動産会社への仲介の依頼は、空き家の売却方法としてメジャーな手法です。不動産会社経由で買い手を探す場合、売却までは以下のステップを踏みます。
- 査定の依頼
- 媒介契約の締結
- 売り出し価格の決定
- 購入希望者の公募
- 買主との交渉
- 契約・引き渡し
不動産会社と締結する媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類です。それぞれそれぞれ契約可能な不動産会社の数や、買主探しの進捗状況の報告義務の有無などの点で違いがあります。
空き家バンクやマッチングサイトを活用する
空き家バンクは各自治体が運営する情報サイトで、空き家の売却や賃貸利用を希望する所有者が掲載した情報を、空き家を活用したいと考えている層向けに掲載します。
空き家バンクでは不動産会社では取り扱ってくれないような物件でも掲載可能である一方、高い値段の売却は難しいのがデメリットです。
空き家バンクに似たサービスとして、一般企業が運営する空き家マッチングサービスもあります。
空き家バンク経由で物件を売却する場合、所有者が直接交渉を行う必要がありますが、マッチングサービスの場合は運営会社が間に入ってサポートをしてくれたり、専門知識などに関してサポートを受けられたりします。
空き家売却で発生する費用・税金
空き家を売却すると「譲渡所得税」「登録免許税」「印紙税」などの税金の支払い義務が生じます。それに加え、不動産会社などに仲介した売却では仲介手数料、マッチングサイトを利用した場合はシステム手数料の支払いも必要です。
譲渡所得税
譲渡所得税は空き家の取得金額を売却金額が上回った場合に課税され、空き家を所有してからの経過時間に応じて税率が変動します(※1)。
印紙税
印紙税は空き家を売却する際に使用する売買契約書に課税される税金です。印紙税は契約書に収入印紙を貼り付ける形で納税を行い、印紙の購入費用は契約金額によって異なります(※2)。
令和4年3月1日まで印紙税には軽減措置が施されており、期間内に作成された書類は課税額が半額となります(※3)。
登録免許税
空き家の相続時に名義を自身のものに変更していなかった場合、不動産の売却を行えるのは基本的に名義人のみであるため、売却にあたって相続登記を行わなければなりません。
不動産登記を行うと登録免許税が課税され、その課税額は「固定資産税評価額×0.4%(本則税率)」となっています(※4)。
さらに、登録免許税以外にも、不動産登記に係る費用として、書類取得費や司法書士への依頼料などが必要です。
仲介手数料・システム手数料
空き家売却で不動産会社に仲介を依頼した場合、仲介手数料の支払いが求められます。仲介手数料は「売買価格×仲介手数料率」で決定し、仲介手数料率は売却時の物件価格によって変動します(※5)。
マッチングサイトを利用して空き家売却を行った場合もシステム利用料などが発生する可能性があり、各サービスによって値段が異なりますので、各社を比較した上で利用しましょう。
空き家売却では税金控除も活用しよう
空き家を売却する際には税金控除を利用可能であり、売却後の手残りの金額を少しでも多くする上で有効です。
例えば、空き家売却で活用できる税金控除として、譲渡所得税に対して適用される「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(※6)」があり、これにより最大3,000万円まで控除される可能性があります。
まとめ
空き家は放置し続けるとさまざまな問題に発展しかねないため、活用予定がないのであれば早期に売却してしまうのがベターです。空き家を売却する際には、物件の状態によって家屋ありの状態で売るか、土地のみを売却するかを判断します。
空き家の売却方法としては不動産会社へ仲介の依頼をするか、空き家バンクや空き家マッチングサイトを活用するのが一般的です。空き家売却で利用可能な控除も活用し、空き家売却を成功させましょう。