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空き家放置は負担増?オーナーはどう対応すべき?

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近年、少子高齢化に陥る日本では空き家の増加が大きな社会問題となっています。遺産相続などで空き家を取得された方の中には、税制上の優遇措置があるからこそ、空き家として所有し続けていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、2022年12月、政府による空き家の税制優遇の見直しに関するトピックが話題になりました。本稿では、同ニュースについて解説し、空き家オーナーに与える影響や対処法を紐解いていきます。

 

放置空き家が負担増になるって本当? 

件の報道について日本経済新聞の内容を参考にすると、政府は全国で増える空き家について、壁に亀裂が入るといった「管理が不十分な建物」の税優遇を見直す検討に入ったとのことです。報道内容を引用すると、以下のように述べられていました(1)。

 

“政府は全国で増える空き家について、壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物の税優遇を見直す検討に入った。住宅用地を対象に固定資産税を軽減する特例から外す方向で、事実上の増税となる。実施されれば平均的な宅地の税額は4倍程度に増える。建て替えや売却を促して倒壊などの危険のある住宅の増加を抑え、中古住宅市場の活性化につなげる”

 

引用:日本経済新聞「放置された空き家、税負担増へ政府検討 活用促す」

 

具体的に検討が進めば、住宅用地に適用されていた固定資産税の軽減特例から外され、事実上の増税に繋がります。

 

全国に存在する空き家は2018年時点では849万戸で、うち居住目的のない空き家は349万戸と、この20年前からほぼ倍増しています。増え続ける空き家問題に対処するため、政府が大きくメスを入れた形です。

 

現在の空き家にかかる固定資産税は?

今回の報道では「固定資産税を軽減する特例から外す方向」とあげられていました。現在、固定資産税は「固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)」の計算式で算出され、空き家のような住宅用地は以下のような現在につながる特例が設けられています(2)。

この特例の存在が、「空き家を解体せずに、所有した方がいい理由」として挙げられていましたが、日本で空き家が増加する一因となったことは否めません。しかし、優遇措置が取り消されれば、報道にもあるように平均的な税負担が「4倍」にまで増えてしまいます。

 

例えば、年間20万円の固定資産税を支払っていたとしたら、80万円にまでアップするということですので、空き家オーナーにとっては由々しき問題であるはずです。

 

都市計画税はどうなる?

今回の報道では言及されていなかったものの、空き家に対する税制優遇がなくなれば、都市計画税の支払額も増加する可能性があるでしょう。都市計画税は、空き家が各自治体が指定した区域に存在する場合に課税される税金で、固定資産税と同じように住宅用地に対する優遇措置が設けられています(3)。

報道では「税優遇を見直す」とありましたので、今後の制度改正によって都市計画税の支払額も増加すると思って差し支えないかもしれません。その場合、空き家オーナーにかかる負担は多大なものとなるでしょう。

 

 

空き家オーナーはどう対応するべきか?

以上を踏まえ、空き家を所有し続けることが負担となった場合、空き家オーナーはどのように対処すればよいのでしょうか。具体的には、以下のような方法が検討されます。

 

・維持管理をマメに行う

・賃貸として貸し出す

・事業用に活用する

・売却する

 

次項より、それぞれについて解説します。

 

維持管理をマメに行う

先日のニュースでは「壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物の税優遇を見直す」とあります。これは、裏を返せば「適切な維持・管理を行っている空き家については、優遇処置はそのまま」の可能性も考えられます。

 

空き家の維持・管理は、通常月に1度程度のメンテナンスが必要です。適切に管理さえしていれば、制度改正後も税制優遇を受けられるかもしれません。

 

とはいえ、本稿を執筆している2023年1月時点では詳しい要件は発表されていませんし、楽観的に考えるのはリスクがあるといえるでしょう。もし税負担が増し、保有し続けるのが難しくなるなら、次から紹介するいずれかの対策を採る必要があります。

 

売却する

税制見直しによって負担が増加する前に、空き家を売却してしまうのも手段の1つです。いわゆる“逃げ切り”のように感じられるかもしれませんが、なるべく多くの「資産」を手元に残す上では、有効な手段です。

 

空き家を解体せずに、「中古住宅」「古家付きの土地」として売却できれば、売却までの手間もそこまでかからないでしょう。空き家をそのまま売却できるなら、解体費用も不要ですので、売却にかかる負担もそこまでかかりません。

 

ただし、空き家が築古物件で、そのままでは賃貸需要が低いと想定される場合は、「古屋付きの土地」「解体して土地のみ」の売却が求められます。資金に余裕があるなら、リフォームを行ってから買い手を探すという手段もあるでしょう。

 

このように、空き家の売却方法の是非については専門的な知見もなければ難しいという側面もありますので、外部専門家の知見も借りるのが有効です。

 

なお、税制の見直しが確定すれば、空き家売却の件数も増加すると予測されますので、早い段階での意思決定が求められます。

 

賃貸として貸し出す

空き家の賃貸物件としての貸し出しは、空き家の活用方法としてはメジャーな手法です。放置している空き家であっても、戸建て物件としての貸し出し、毎月の賃料を得られれば、諸経費や固定資産税の支払分を差し引いても収益が期待できます。さらに賃貸物件として貸し出せば「空き家」ではなくなりますので、引き続き住宅用地の税制優遇を受け続けることが可能です。

 

入居者が、見つかりにくいと考えられる場合でも、セーフティネット住宅とは、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として物件を登録する「セーフティネット住宅」という選択肢があります。「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」によって定められたこの制度を利用すれば、助けを必要とする人達への援助にも繋がります(4)。

 

ただし、セーフティネット住宅に登録するためにはいくつかの要件が定められていますので、すべての空き家オーナーが利用できる訳ではありません。

 

事業用に活用する

優遇措置取り消し後の固定資産税を支払うために、空き家を事業用に活用するという方法もあります。

 

例えば、民泊としての経営です。以前はハードルの高かった民泊経営ですが、2023年1月現在は「住宅宿泊事業法(民泊新法)」により、180日/年以内なら誰でも実施できます(※一定の要件を満たす必要あり)(5)。

 

観光地近郊にある空き家なら、民泊として経営した方が賃貸として貸し出すよりも多くの収益が見込めるかもしれません。

 

空き家を事業用途として活用したいなら、その他にも「カフェ」「シェアオフィス」などの選択肢があります。いずれにしても、市場ニーズに対する理解や経営手腕が問われますが、挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか。

 

まとめ

以上のとおり、空き家に対する税制優遇が見直されれば、負担する税額が4倍程度に増えるため、空き家オーナーには何かしらの対応が求められます。

 

最もベターな手法は、空き家売却です。空き家の売買増加による中古住宅市場の活性化は、政府の意図ともマッチする取り組みですので、積極的に検討されるべきでしょう。

 

ただし、思い入れのある物件を手放すのが忍びない場合は、賃貸用や事業用で空き家を活用して、増加する負担額の支払に充てなければならない可能性が大いにあります。

 

参考(※URL最終閲覧2023年月日)

 

※1 日本経済新聞「放置された空き家、税負担増へ政府検討 活用促す」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA153GC0V11C22A2000000/

 

※2 総務省「固定資産税の概要」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

 

※3 総務省「都市計画税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_10.html

 

※4 国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度について」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html

 

※5 国土交通省「住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?」https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html

 

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